囚人のジレンマとは、ゲーム理論におけるモデルの1つで、各プレーヤーが個々に一番有利な選択肢を選んだ場合、協力した場合より悪い結果が生じるという状況を指します。
具体的には、2人の囚人(プレーヤー)が別々の部屋で尋問され、次の条件を与えられます。
- 自分が自白し、相手が黙秘した場合は無罪、相手は懲役10年
- 相手が自白し、自分が黙秘した場合は懲役10年、相手は無罪
- 双方とも自白した場合は懲役5年
- 双方とも黙秘した場合は懲役1年
この場合、どちらの囚人も自白することが最善の選択肢になります。なぜなら、相手が黙秘した場合に自白すれば無罪になれるからです。しかし、もし相手が自白した場合、黙秘すれば懲役10年になるため、自白するしかありません。
したがって、どちらの囚人も自白するという結果になります。しかし、これは双方とも黙秘した場合よりも悪い結果です。
囚人のジレンマは、個人の利益の追求が社会全体の利益につながらず、よくない状況に陥ってしまうことを示す例として知られています。
囚人のジレンマは、現実世界にもさまざまな場面で当てはまります。例えば、
- 環境問題:各国が環境保護に取り組む方が地球全体にとってよい結果になるが、他国が取り組まない場合に自国だけ取り組むと経済的な損失が生じるため、取り組まないという選択肢が選ばれることがある。
- 軍拡競争:各国が軍備を縮小する方が戦争のリスクが減り、社会全体にとってよい結果になるが、他国が軍備を増強する場合に自国だけ軍備を縮小すると安全保障上のリスクが生じるため、軍備を増強するという選択肢が選ばれることがある。
- ドーピング:スポーツ選手がドーピングをしない方が健康によい結果になるが、他選手がドーピングをしている場合、ドーピングをしないと不利になるため、ドーピングするという選択肢が選ばれることがある。
このように、囚人のジレンマは、個人の利益と社会全体の利益が対立する状況において、よく起こりうる現象です。
参考URL:
囚人のジレンマ|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA