自尊心仮説とは、自尊心が低い人は、相手が自信満々の場合、どんな話であろうと説得されやすい傾向があるというものです。
自尊心とは、自己に対する評価、つまり自信の上位概念であり、時間的に変化しにくい認知です。自尊心・自己評価とも言い、例えば自分の価値や能力観を指すものです。
肯定的に評価していれば自尊感情が高く、否定的に評価していれば自尊感情が低いのです。
一般に人間は、自尊心を高く維持する、あるいは高揚するよう動機づけられているとされており、広範な人間行動を説明する様々な理論の基礎となっています。
自尊心の弱い人は、自分に対する自信と誇りが弱く、対人関係で、受け身で他者へ依存的になり、外からの要求によって動かされやすいということ。
また、人を疑うことを知らず、人を信じやすい。このため他者、とくに権威ある他者から働きかけを受けると、それに反対することが難しく、相手の言うことを無批判に受け入れる結果になりやすいのです。
自尊心仮説は、1965年にアメリカの心理学者エドワード・ローゼンバーグによって提唱されました。ローゼンバーグは、自尊心が低い人は、他者からの承認や評価を求める傾向が強いため、他人の意見に影響されやすいと考えました。
自尊心仮説は、その後の研究で広く支持されてきました。例えば、自尊心が低い人は、説得のメッセージの内容をよく理解していないにもかかわらず、説得されやすいことが示されています。
自尊心仮説は、マーケティングや広告など、人の意思決定に影響を与える場面で応用されています。例えば、自尊心が低い人に訴求する商品やサービスは、自信を与えるようなメッセージやイメージで訴求されることが多いです。
また、政治や宗教などの分野でも、自尊心仮説は用いられています。例えば、自尊心が低い人に訴求する政党や宗教団体は、信頼感や帰属感を与えるようなメッセージやイメージで訴求されることが多いです。