満足化原理とは、意思決定において、ある目標水準を定め、その水準を達成できる代替案を発見した時点で、新たな代替案の探索を中止して、その代替案を選択するという意思決定の方法です。
1955年に、アメリカの経済学者ハーバート・A・サイモンが論文で提唱しました。
サイモンは、人間の意思決定は、完全合理性を追求するものではなく、限られた情報と時間の中で、ある程度の満足感を得られる代替案を選択するものだと考えました。
満足化原理は、以下の要因によって生じると考えられています。
- 情報の限界:人は、常に完全な情報を得ることができない。
- 時間の限界:人は、常に十分な時間をかけて意思決定を行うことができない。
- 意思決定のコスト:意思決定には、時間や労力などのコストがかかる。
満足化原理は、日常生活のさまざまな場面で見られ、以下のような例が挙げられます。
- レストランで食事をする際に、メニューを見て、ある程度気に入ったメニューを選ぶ。
- 家電製品を買う際に、複数のメーカーや製品を比較して、ある程度の価格や性能の条件を満たす製品を選ぶ。
- 就職活動の際に、複数の企業から内定をもらった場合、ある程度の条件や希望を満たす企業を選ぶ。
満足化原理は、人間の意思決定の現実的なモデルとして、広く受け入れられています。
また、マーケティングや広告においても、効果的に活用されています。
例えば、商品やサービスの価格を、競合他社よりもわずかに安くすることで、消費者の満足感を高め、購入を促進することができます。
また、商品やサービスの機能や性能を、競合他社よりもわずかに向上させることで、消費者の満足感を高め、購入を促進することができます。
満足化原理は、人間の心理に根ざした強力な効果を持つため、マーケティングや広告においては、有効に活用できる心理効果と言えるでしょう。
参考URL:
23 最適化原理と満足化原理|松尾 憲幸