フィニアス・ゲージは、1848年に鉄道工事中に頭部に鉄の棒を突き刺されたことで知られる男性です。彼は奇跡的に生存しましたが、事故によって性格や行動が根本的に変化してしまいました。
ゲージは、当時25歳の鉄道建築技術者の現場監督でした。1848年9月13日、バーモント州の鉄道建設現場で、彼は火薬を岩に詰めて爆破する作業を行っていました。しかし、火薬が爆発しなかったため、ゲージは鉄の棒で火薬を突き固めました。そのとき、爆発が起き、鉄の棒がゲージの頭を貫通しました。
鉄の棒はゲージの頭を額から後頭部に抜け、口から出ました。ゲージは顔面を大きく損傷しましたが、すぐに意識を取り戻し、歩いて病院に運ばれました。
ゲージは、奇跡的に命を取り留めましたが、事故によって性格や行動が根本的に変化してしまいました。以前は温厚で礼儀正しい人物だったゲージは、事故後、短気で無礼になり、人の話を聞かなくなったといいます。また、計画性や判断力が低下し、自制心も失われてしまったそうです。
ゲージは、事故から12年後の1860年、36歳で亡くなりました。彼の死後、彼の脳は研究用に寄贈され、現在もハーバード大学のウェルズ記念館に保存されています。
ゲージの事故は、脳と行動の関係を研究する上で非常に重要な意味を持っています。彼のケースは、脳の損傷が性格や行動にどのような影響を与えるのかを示す、貴重なデータとなりました。