心理学における転移とは、クライエントが、過去に重要な他者(両親など)との間で生じさせた欲求、感情、葛藤、対人関係パターンなどを、別の者(多くの場合は治療者)に対して向ける非現実的態度を転移と呼びます。
転移には、陽性転移と陰性転移の2種類があります。陽性転移とは、過去の重要な他者に向けられていた愛着欲求や依存欲求が、治療者に対して向けられることです。陰性転移とは、敵意や攻撃欲求が、治療者に対して向けられることです。
転移は、精神分析・精神分析的心理療法において、とても重要な概念と言えるでしょう。転移を理解することで、クライエントが抱えている感情や葛藤をより深く理解することができます。また、転移をクライエント自身が意識することで、自己理解を深め、問題解決に取り組むことができます。
転移を促進する要因としては、次のようなものが挙げられます。
治療者への信頼感
治療者の傾聴や共感
治療者の中立性
転移を扱う際には、治療者が次のことに注意する必要があります。
転移はクライエントの無意識の欲求や葛藤が表れたものであることを認識する
転移をクライエント自身が意識できるように促す
転移をクライエントの治療に役立つように利用する
転移は、精神分析・精神分析的心理療法において、とても重要な概念です。転移を理解し、効果的に扱うことで、クライエントの治療に大きく貢献することができます。