生涯発達心理学とは、人間の受胎・誕生から老年までの生涯のライフ・コースを通じて、どのような恒常的な心理的特性が存在するか、どのような量的変化や質的変化を生ずる心理的特性が作用しているかなどを研究する学問です。
従来の発達心理学が主に幼児期から青年期に至るまでの上昇的変化を対象にし、発達段階の特徴やその移行の過程を捉えてきたのに対して、生涯発達心理学は全生涯的な発達の中で見直していくというメタ方法論的な側面を含むものとなっています。
生涯発達心理学の研究対象は、大きく分けて以下の3つに分けられます。
個人の心理特性
人間の知能、性格、感情、動機、価値観など、個人の心理特性は、生涯を通してどのように変化していくのかを研究します。
ライフ・イベントの影響
結婚、出産、子育て、退職など、人生の中で起こるさまざまなライフ・イベントが、個人の心理特性にどのような影響を与えるのかを研究します。
社会・文化の影響
社会や文化は、個人の発達に大きな影響を与えます。生涯発達心理学は、社会・文化が個人の発達にどのように影響を与えるのかを研究します。
生涯発達心理学は、教育、福祉、医療、ビジネスなど、さまざまな分野で応用されています。例えば、教育分野では、生涯発達心理学の知見を活用して、子どもから高齢者まで、一人ひとりの能力や興味に合わせて、最適な教育を提供することが可能になります。福祉分野では、生涯発達心理学の知見を活用して、高齢者や障害者の生活を支援することが可能になります。医療分野では、生涯発達心理学の知見を活用して、病気や障害の影響を受けた個人の心理的な問題を解決することが可能になります。ビジネス分野では、生涯発達心理学の知見を活用して、従業員のモチベーションや生産性を向上させることが可能になります。
生涯発達心理学は、人間の一生を通してどのように発達していくのかを研究する学問です。近年、高齢化社会の進展やライフスタイルの多様化などにより、生涯発達心理学への関心が高まっています。